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2016/03/30 10:57
脂肪肝は、肝臓の10%以上の肝細胞に、脂肪滴(脂肪のかたまり)が付着している状態を言います。脂肪肝には、アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝、単純性脂肪肝の3タイプに別れます。
【アルコールを飲まなくても脂肪肝になるケース】
従来、脂肪肝はおもにアルコールが原因だと考えられてきましたが、90年代になりアルコールが原因でない脂肪肝がある事が判明、これが非アルコール性脂肪肝(NAFLD/ナッフルド)です。1日に日本酒換算で1合以下のアルコール摂取量であるにもかかわらず発症する脂肪肝です。成人の人間ドッグ受診者の10%~30%がNAFLDと診断され、国内の患者数は1000万人と推定されています。主な原因は肥満、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症で90%以上のケースで、これらの生活習慣病のいずれかを合併しています。
【脂肪肝炎が発症し肝硬変や肝がんに進行する】
非アルコール性脂肪肝(NAFLD)のほとんどは、肝硬変や肝がんに進まない単純性脂肪肝ですが、10%~20%は炎症が起きている非アルコール性脂肪肝炎(NASH/ナッシュ)であるとされています。そして、NASHの20%~30%が約10年で肝硬変や肝がんに進行するとわかりました。現在、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者数は推定200万人。メタボ人口の増加により今後も増加すると予測されています。
【発症の原因その1=血糖上昇】
発症の原因は、血糖値の上昇に伴う高インスリン血症が関係しています。
血糖値が上昇することで分泌されるインスリンには、肝臓に脂肪を蓄積する働きがあります。内臓肥満があると、血糖値が下がりにくい状態(インスリン抵抗性)を起こし、インスリンが過剰に分泌され、高インスリン血症をきたします。これが、脂肪肝の発症と悪化を促進します。2007年に日本糖尿病学会から、糖尿病患者の死因の第1位が、肝がんだという報告があり、肝硬変も含めると糖尿病患者の17.5%が肝疾患で亡くなる事が明らかにされました。
【発症の原因その2=活性酸素と鉄分】
また、活性酸素の酸化と肝臓における鉄の関与も見逃せません。
活性酸素は、細胞に酸化ストレスを与え、遺伝子を傷つける毒性の強い物質です。
活性酸素により脂肪肝が酸化ストレスを受けると、肝細胞の壊死や炎症性変化をきたし、繊維化も起こし、NASHが進行します。
活性酸素は、鉄分と反応してヒドロキシラジカルと呼ばれる、毒性の強い活性酸素を発生します。
したがって、非アルコール性脂肪肝や脂肪肝炎の予防は、生活習慣病の予防を強化して、体内の「糖化」「酸化」「鉄化」を避ける生活の工夫が必須になりますね。